ものづくりの姿勢、モットー Attitude , Motto

●百年かけて育った木から、百年使えるものづくりを目指します。

百年使えるとは修繕や調整を繰り返しながら使い続けるという意味です。

 これが実践できれば、木という素材は枯渇してゆく化石資源とは異なり、循環可能な資源となり得るからです。(この言葉は私が木工へ入門した森林たくみ塾の創設母体であるオークヴィレッジの理念です。この言葉に感銘を受け、私もこの仕事を生業にと志しました。私の初心そのものです)

●高温多湿な日本の気候の中で、古(いにしえ)より培われてきた木組みの技を活かし、木材の伸縮、反りを考慮した制作をいたします。

●意匠においては、ソリッド(無垢)材ならではのかたちを求め、手に触れては、かつての立木の姿に想いを馳せていただける様な意匠を目指します。

 一方、かたちの主張が過剰とならぬ様、常に引き算的思考を心掛け、シンプルながらも、見たことも無いと感じていただける意匠を日々考えています。

●合板、集成材等、新建材の多くは接着剤頼みの技術であり、耐用年数等、末長く使える素材であることを歴史は証明できていません。(湿度に晒されてボロボロに剥離した合板や、接(は)ぎ面が切れて亀裂の入った集成材を見かけたことがないでしょうか?)

 その技術も日々進歩し過去のものよりもさらに堅牢さを獲得しているのでしょう。しかし、”百年耐え得る素材であるかどうか?” 当工房では懐疑的と判断し、基本的には使用いたしません。

接着剤に対してもあくまでジョイント(接続)のための補助として捉え、木組の技術と加工精度によってジョイントは強化すべきと考えます。

 勿論、お客様のご要望、ご予算第一での製作ですので、使用の際には将来取替え等、メンテナンス可能な仕様でのアレンジ、ご提案させていただきたいと思います。

●木材の節やシミ、軽微は干割れ等はキャラクターマーク、つまり木それぞれの個性と考えます。

執拗にそれらを避けた木取りは、いたずらに木材の歩留まりを小さくし、必然材料費もかさんでゆきます。

 構造上、使用に耐えない箇所での使用はいたしませんが、それらが”あばた”に見えるのか、”えくぼ”に見えるのかは作り手の使い方次第と心得ます。

 与えられた資源を余すことなく、なるだけきっちりと使い切りたいと思っています。